CMMS(設備保全管理システム)とは?機能・選び方と無料で始める設備管理

CMMS(設備保全管理システム)とは、設備台帳・点検・修繕・部品在庫といった保全業務の情報を一元的に記録し、点検や保全の計画・実施・履歴の管理をコンピュータ上で支援するシステムです。

英語では Computerized Maintenance Management System と表記し、その頭文字をとってCMMSと呼ばれます。

紙の点検表やExcelの台帳で設備を管理していると、「あの設備は前にいつ直したか」「次の点検期限はいつか」といった情報が、担当者の記憶や個別のファイルに散らばりがちです。CMMSは、こうした保全情報を1か所に集め、必要なときに誰でも引き出せる状態にすることを目的としたツールです。ここでは、CMMSの主要な機能・導入メリット・選び方を、現場で使う視点から整理します。

CMMSでできること ── 主要な5つの機能

製品によって呼び方や範囲は異なりますが、CMMSがカバーする代表的な機能は次の5つです。ここでは、当社が無料で提供する「設備管理の匠WEB版」での対応機能とあわせて整理します。

機能 何をするか 解決する困りごと
設備台帳 設備ごとに型番・仕様・設置場所・保全履歴を登録し、1台単位で情報を集約する 台帳が個人のExcelに分散し、最新版がどれか分からない
保全計画 点検・整備の予定を年間で計画し、実施予定と期限を一覧で管理する 点検や定期整備の期限を見落とし、後追いになる
点検管理 日常点検・定期点検の結果を記録し、異常や測定値の推移を追跡する 点検結果が紙のまま蓄積されず、傾向が見えない
部品在庫 交換部品の在庫数を管理し、適正在庫を下回ったら把握できるようにする いざ直すときに部品が無く、修理が止まる
分析 故障・修繕の記録を集計し、故障の多い設備をグラフなどで可視化する どの設備に手を打つべきか、勘に頼っている

重要なのは、これらが別々のツールではなく1つのシステムでつながっている点です。点検で記録した異常が修繕履歴として台帳に残り、その履歴が分析に集まり、次の保全計画に反映される。この循環をつくることがCMMSの中心的な役割です。

この循環の入口になるのが、日々の点検記録です。点検項目の決め方や、現場で記録が続く様式の作り方については設備点検表の作り方で詳しく解説しています。

CMMSを導入するメリット

情報を探す時間が減る

設備の仕様・図面・過去の修繕内容が1か所にまとまっていれば、「前回どう直したか」を人に聞いて回る必要がなくなります。トラブル対応の初動が早くなり、現場の負担が軽くなります。

属人化を防ぎ、引き継ぎができる

ベテラン担当者の頭の中にある「この設備はここが弱い」という知見も、点検記録に判断の理由を書き残すことで組織の記録として残ります。担当者が異動・退職しても、保全の質を落とさずに引き継げるようになります。

事後保全から予防保全へ移りやすくなる

壊れてから直す事後保全のままでは、記録が「壊れた事実」しか残りません。点検データが蓄積されると、劣化の傾向をもとに壊れる前に手を打つ予防保全へ、段階的に移行しやすくなります。どの設備をどこまで予防保全にするかは、設備の重要度に応じて選ぶのが現実的です。

失敗しないCMMSの選び方

高機能なシステムを入れても、現場で入力が続かなければ記録は貯まりません。ツール選びでは次の観点を確認してください。

ツール選びで最初に確認したい4つのポイント
  • 無料で試せるか。いきなり有償契約せず、実際の設備を数台登録して現場が使えるか試せると、導入判断の失敗が減ります。
  • 現場が使い続けられるか。点検結果の入力が簡単か、スマートフォンやタブレットで記録できるかなど、毎日の入力の手間が小さいことが定着の条件です。
  • 台帳・点検・部品を一体で扱えるか。機能ごとにツールが分かれると、結局データがつながりません。1つのシステムで循環する構成を選びます。
  • 小さく始められるか。全設備を一度に登録するのではなく、重要な設備から段階的に広げられるほうが、運用に無理が出ません。

当社の「設備管理の匠WEB版」は、フリープランを期間無制限・無料で提供しており、台帳・保全計画・点検・部品在庫・分析を一通り試したうえで導入を判断できます。

CMMSの「先」 ── 予知保全とデジタル化の成熟度

CMMSでデータを整備することは、それ自体がゴールではなく、より進んだ保全へ向かう土台づくりでもあります。NEDOと経済産業省製造産業局が公開する「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(SMDG)」は、設備の予兆検知に至るまでの到達度を段階として整理しています。

この考え方に照らすと、CMMSで台帳や点検の情報を整えることは、まず「情報の標準化」と「情報・データの蓄積」という初期段階にあたります。この土台があって初めて、設備の状態にもとづく保全(CBM)や、リスクを予測してアラートを出す予知保全といった上位の段階へ進めます。センサーや予知保全を検討する前に、記録が標準化されて貯まっているかを確認するのが順序です。

予知保全やSMDGの実現レベル5段階の正確な定義は、官公庁の一次資料にあたって解説している中立メディア「設備メンテナンスNews」の用語解説を参照してください。

なお、CMMSの導入も含めて、設備管理の仕組みをゼロからどの順序で組み立てるかは、設備管理の始め方|ゼロから仕組みをつくる5つのステップで全体像の図解つきで解説しています。

よくある質問

Q. 無料のCMMSでどこまでできますか?

A. 製品により範囲は異なります。「設備管理の匠WEB版」のフリープランは、設備台帳・保全計画・点検管理・部品在庫・分析を期間無制限で利用できます。まずは自社の主要な設備を数台登録し、点検記録が続けられるかを試してから、チーム利用など有料プランの機能を検討する進め方が現実的です。無料の範囲でどこまで運用できるかは、次の記事で詳しく解説しています。

Q. ExcelとCMMSは何が違いますか?

A. Excelは自由度が高い一方で、ファイルが分散して最新版が分かりにくくなる、複数人での同時更新に弱い、点検と台帳と部品が別ファイルでつながらない、といった限界があります。CMMSは、これらの情報を1つのシステムでつなぎ、履歴を設備ごとに蓄積することを前提に作られています。設備の台数が増え、Excelでの管理に手間や抜け漏れを感じ始めたときが移行の目安です。

設備保全の用語や保全方式の正確な定義は、当社が運営に関わる中立メディア「設備メンテナンスNews」の用語集で、官公庁の一次資料にもとづき解説しています。あわせてご覧ください。

参考: スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(SMDG)/NEDO・経済産業省製造産業局・2025年 第2版。保全方式の分類はJIS Z 8115(ディペンダビリティ用語)にもとづく。

上部へスクロール